- 「買った衣装がアバターの体型に合わず、ちょっとはみ出してしまう…」
- 「非対応衣装だけど、どうしてもこの服を着せたい!」
アバター改変やモデル制作を楽しんでいると、このような「衣装の貫通・サイズ問題」に直面することがよくあるのではないでしょうか。
あまり3Dに慣れていない方だと、修正のハードルが高く諦めてしまいがちですし、 普段から3Dに触れている方でも「微調整のためにBlender・Unityを往復するのは面倒くさい…」と悩んでしまうことと思います。
今回はそんな悩みをまとめて解消する、Unity上でメッシュ変形ができる画期的なツール「EreMorph(えれもーふ)」をご紹介します!
操作にやや慣れは必要ですが、Blenderを使うことなくサッと貫通調整ができる、とても有用なツールです。3D初心者の方はもちろん、3D経験者の方もぜひ参考にしてみてください!
ちとせ 本記事はちとせがお送りいたします。
もくじ
EreMorph(えれもーふ)とは?
今回紹介する「EreMorph(えれもーふ)」は、Unityの画面上で直接メッシュ(3Dモデルの形状)を変形できるツールです。
えれにゃんこ様よりご提供されており、BOOTHでは3000円の買い切り型、pixiv FANBOX・Fantiaでは1000円のサブスクリプション型が用意されています。
EreMorphを使えば、Blenderを使わずともUnityだけで衣装を引っ張ったり縮めたりして、気になる貫通やサイズ感を修正することができます。
また、いわゆる「非破壊編集」であるため、万が一失敗しても簡単に元に戻せるのも安心です。
EreMorphの導入方法
ここからは、EreMorphの導入方法をご紹介していきます。丁寧な公式マニュアルも用意されていますので、必要に応じてこちらも活用してみてください。
EreMorphDocument
ちとせ 今回用いるEreMorphは、BOOTHの買い切り版です。
まずはBOOTHから商品を購入し、フォルダ一式をダウンロードします。過去バージョンも公開されていますが、基本的には最新のものを選択すればOKです。

ダウンロードしたフォルダを解凍・展開したところがこちら。内容物は以下のようになっており「EreMorph_v.x.x.x.unitypackage(執筆時点ではv.2.0.0)」が本体です。

Unityを開き、「Assets」の欄に先ほどのEreMorph本体をドラッグ&ドロップしましょう。

以下のような確認画面が出てきますので、右下「インポート」をクリック。

Assets内に「EreMorph」という項目が追加されていれば、本体の導入は完了です!

ちとせ もう少しだけやることがあります!引き続き準備を進めましょう。
EreMorphに必要な各種パッケージ
EreMorphは本体導入に加えて、以下2つのパッケージを事前に導入しておく必要があります。
- Mathematics
- Non-Destructive Modular Framework(NDMF)
Unity上部メニューから「ウィンドウ」→「パッケージマネージャー」と開いてください。

一つ目に必要なのが「Mathematics」です。パッケージマネージャー右上の検索窓に入力すると効率よく探すことができます。

「Mathematics」は、VRChatにアバターをアップロードするための「VRChat SDK」と同時にインストールされているはずなので、多くの場合既に入っているかと思います。
もしない場合でも、EreMorph導入時に以下のようなインストールを促すウィンドウが出るようなので、指示に従っていけば問題はないでしょう。
二つ目に必要なのが「Non-Destructive Modular Framework(NDMF)」です。

こちらは「Modular Avatar」や「lilycalinventory」といった非破壊編集ツールと一緒にインストールされるものとなっています。
普段から改変を楽しんでいる方は問題ないかと思いますが、もし見当たらなかった場合には、以下の記事も参考に関連ツールを導入しておきましょう!
アバター改変やアップロード環境を便利しよう!
先日、lilToonの作者さんであるlilさんから新しいツールがリリースされました。 この記事ではlilycalInventoryでできる機能、使い方・導入方法をどのサイトよりも分かりやすく丁寧に解説していきますので是非 …
ここまで出来たら、EreMorphを使う準備は万端です!早速試してみましょう。
EreMorphの初期設定
EreMorphは、変形したいオブジェクトにコンポーネントを追加して使っていく形になっています。
任意のオブジェクトを選び、Inspector(インスペクター)内の「コンポーネントを追加」から、EreMorphを追加しましょう。

ちとせ VRChatでの利用を想定しているのであれば、基本的に「EreMorph(VRChat)」の方で大丈夫かと思います。
コンポーネントを追加した状態がこちら。中央のメイン画面(シーンビュー)に服のマークが表示されていれば正しく設定できています!

EreMorphの基本的な使い方
EreMorphにはたくさんの項目がありますが、基本的な使い方としては以下の通りです。
- 「モーフユニット」→「モーフユニットを追加」を選択
- 「PreBakeUnit」→「編集」をクリックし、ベースの形を変更
- 「BlendshapeUnit」→「編集」をクリックし、好みのシェイプキーを作成
ちとせ 一緒に順番に見ていきましょう!
まずは「モーフユニット」の欄にある「モーフユニットを追加」をクリック。これが第一ステップです。

モーフユニットを追加すると、以下のように表示されます。

各ユニットの意味は以下の通り。
- PreBakeGroup
PreBakeUnitを管理しやすくするためのグループ(変形には関係なし) - PreBakeUnit
変形がそのままモデルに書き込まれるモーフユニット - BlendShapeUnit
変形をシェイプキーとして書き込むモーフユニット
「PreBakeUnit」は変形した形がそのままアバターに書き込まれるもので、貫通を直したい時などのベース(素体)修正向き。
「BlendShapeUnit」は、その名の通りシェイプキーとして保存できるユニットです。髪型や顔、小物のサイズ等、気分に合わせて変えたいものの変形はこちらで行いましょう。
ちとせ ユニットの名前は自由に変更できます。
また「グループを追加」からグループ機能を活用すると、ユニットが管理しやすくなります!公式マニュアルの画像が分かりやすかったので、拝借して以下に掲載します。
ここからは実際の変形方法です。各モーフユニットにある「編集」を押すことで、Editモードに入ることができます。

Editモードに入ると、EreMorphコンポーネントを追加したオブジェクトにドットが表示されているかと思います。これがこのオブジェクトの頂点です。

任意の頂点を選択した状態でX・Y・Z軸(ハンドル)をクリック&ドラッグすることで、オブジェクトを自由に変形することができます!
なお、マウスのドラッグ操作によって、範囲内の頂点をまとめて選択することも可能です。
これらはEreMorphの基本的な操作となりますので、ぜひ押さえておきましょう!
まず覚えたい!EreMorphの便利機能&設定4選
EreMorphはとにかく多機能で、最初からすべて使いこなそうとするとパンクしてしまいかねません。
ここでは、私が実際に使ってみて「まずはこれが使えたら良さそう!」と感じた4つの機能をご紹介します。
滑らかに変形できる「影響フィールド」
「編集設定」タブにある「影響フィールド設定」から利用できる機能です。Blenderでいう「プロポーショナル編集」にあたります。

一つの頂点を引っ張った際、その周辺の頂点もいい塩梅に追従して動いてくれる機能で、シルエットを滑らかに調整したい時にとても便利です。
どの範囲まで一緒に動くかは、頂点の色を見ると判別できます。変形操作(ドラッグ)中にホイールを回すか、「半径を直接編集」から数値を変更してあげることで、影響範囲の調整が可能です。
また、「減衰カーブ」を変更することで、範囲内の各頂点に対して、どのくらいの強さで影響させるかも設定することができます。

画面録画の関係で減衰カーブが映っていませんが、緑のグラフの両端(キー)をドラッグして動かしています。マウスの動きに合わせてメッシュの形状も変わっていますね。
ちとせ 減衰カーブの上で右クリックすると、キーを追加してさらに細かく調整が可能です。
これは実際に使ってみていただいた方が、挙動がよくわかるかと思います!大変便利なのでぜひ活用しましょう。
左右対称に動かせる「シンメトリ有効化」
同じく「編集設定」内にある「シンメトリ有効化」は、いわゆる「ミラー編集」機能です。 手や足、袖や裾など、左右同時に長さを調整したい時に重宝します。

設定は簡単で、「シンメトリ有効化」と、任意の対称軸(X・Y・Z)にチェックを入れるだけです。下記動画のように、左右の袖を同時に変形したい場合は、「X軸」を選択してあげましょう。
Blenderと違い、モデルの左右で多少頂点の構造に違いがあっても、上手く対称に変形してくれるのがとてもありがたいポイントです!
一気に範囲選択できる「背面頂点をカリングのOFF」
ドラッグで範囲選択をした際に、裏側(背面)にある頂点もまとめて選択できるようになる設定です。
「オプション」>「シーン描画設定」内にある「背面頂点をカリング」を、OFFにしてあげることで機能します。

例えば「袖を短くしたい」「服の裾を調整したい」といった時に、表と裏の頂点をそれぞれ選択・変形する手間が省けるため、作業効率がグッと向上します。
ただし、頂点数がとても多いハイポリのモデルの場合、動作が重くなる可能性も考えられます。用途に合わせて、ON/OFFを切り替えながら使うといいかもしれません!
頂点が見やすくなる「Shaded Wireframe」
最後はEreMorphではなくUnity側の表示設定ですが、参考までにご共有させていただきます。
シーンビュー右上の三日月のようなアイコンから「Shading Mode」を「Shaded Wireframe」に変更すると、個人的に使いやすく感じました。

この設定をすることで、メッシュの割り方や頂点の位置が視覚的にわかるようになります。

Editモードでは選択した頂点がハイライトされますが、それでも狙ったところを掴みづらかったり、どの頂点が変形しているのか分からなかったりすることがありました。
もしEreMorphを使っている中で同じように感じたら、必要に応じて試してみてください!
ちとせ EreMorphの「オプション」→「シーン描画設定」から、頂点の色を変更することもできます!どうしても見づらい時はこちらも試す価値ありです。
EreMorph実践:足の貫通を修正してみた
ここまで解説した機能を使い、靴から足がはみ出してしまったケースを想定して、実際にEreMorphで修正作業を行ってみました。
作業の流れとしては以下の通りです。
- 素体の変更なので「PreBakeUnit」から編集モードに入る
- 「影響フィールド」の半径を調整して変形をスムーズに
- 「シンメトリ有効化(X軸)」によって両足を同時に修正
- クリックで頂点選択→X・Y・Z軸を操作して修正
使うべき項目さえ分かってしまえば、操作自体はとても直感的に行うことができます!
簡単な貫通修正であればこのように短時間で実現できるので、Unity上で作業を完結させたい場合には非常に有用です。
EreMorphを実際に使って分かった注意点・コツ
アバターの修正作業から独自のシェイプキー追加まで、EreMorphはとにかくポテンシャルが高いツールだと感じます。ただ実際に触ってみると、いくつか気になるポイントがあったことも確かです。
これからEreMorphの導入を考えている方に向けて、留意しておくべきポイントもまとめておきたいと思います。
頂点がない場所の変形は苦手
EreMorphは、既存の「頂点」を動かして変形させるツールです。 そのため、ローポリモデルのような頂点数の少ないモデルだと、少し使いづらいように感じます。
ちょうどいいところに頂点がない場合、理想の形に変形できなかったり、形がぐしゃっと崩れてしまったりすることがありました。
Blenderのように「その場で頂点を新しく追加して整える」といったことができない点には注意が必要です。
操作にはUnityの「慣れ」が必要
私個人の問題かもしれませんが、UnityのSceneビューでの操作はどうしてもやりづらい部分があると感じています……。
特に視点変更周りの操作感はモデリングソフトとだいぶ異なるため「細かくしっかり編集したい」という用途には少し不向きかもしれません。
Unityをマスターしている方には何てことないかもしれませんが「BlenderができないからEreMorphで代用する」と考えている方はやや注意が必要です。EreMorphで理想の形を作れるようになるには、ある程度Unityの練度が必要です。
ちとせ 最初はちょっとした貫通の修正等から始めて、少しずつツールに慣れていくのがおすすめです!使いこなすほど便利になることは間違いなし。
外部ソフト用(FBX等)のエクスポートは不可
作成した変形データ(シェイプキー)はUnityのAssetとして保存することはできますが、FBXなどの「他の3Dソフトで編集できる形式」でエクスポートすることは現状できません。
「Unityで大まかに調整してから、Blenderに持っていって細かい違和感を直したい」といった連携はできないため、あくまでUnity上で完結する編集ツールであると認識しておきましょう。
EreMorphでもっと自由に改変を楽しもう

Unity上で自由にメッシュ変形ができる「EreMorph(えれもーふ)」をご紹介しました。いくつか注意点も挙げたものの、以下のような場面において、右に出るものはないほど強力なツールです。
- 改変に伴うちょっとした違和感や貫通を修正したい時
- すでに出来上がっている衣装・モデルに+αの調整をしたい時
3Dソフトを利用せず、Unityだけで好きなように変形したりシェイプキーを追加したりできる体験はとても新鮮でした。ただ、とにかく機能がてんこ盛りなので、公式マニュアルを見ながら操作に慣れていく必要がある点には留意しましょう!
ちとせ 私ももっと使いこなせるよう、Unityと一緒に勉強したいと思います……!
Blenderに慣れている人は修正作業を時短でき、慣れていない人には改変の自由度を与えてくれるEreMorph。 まだ使ったことがない方は、ぜひ日々の改変作業に取り入れてみてください!
使用アバター
筆者自作










