最近フレンドロケーションを見るとこのようなワールドを見る機会が増えています。

2026年4月30日に公開された日本語話者向け集会所ワールドで現在(2026年6月15日)公開から僅か1ヵ月半程で訪問者数13万人を突破し、現在注目を集めている日本語話者向け集会所ワールドの一つです。
私自身、これまで数多くの日本語話者向け集会所ワールドを見てきましたが、人が定着し続けるワールドというのは決して多くありません。日本語話者向け集会所ワールドで人が定着し続けることは、VRChatの中でも非常に難しいことだと感じています。成功の秘訣や、こだわり、工夫ポイントを色々インタビューさせて頂ければと思います。
今回取材に応じてくださったのはINCで運営をされている

『銀こんにゃく』さんです。本日はよろしくお願いいたします。
もくじ
ワールド名「INC」の由来を教えてください。
銀こんにゃく 正式名称はインターメディアネットワークセンターとなります。略してINCです。
※インターメディアとは異なる複数のメディアや芸術形式(映像、音響、光、身体表現など)を横断・融合させ、新しい表現や空間を作り出す概念や手法となります
銀こんにゃく インターメディアという言葉の通り、アバター、映像、音楽といった要素をエリアごとに分けるのではなく、それぞれの境界が空間の中で自然に溶け合うような表現を目指しています。その中で様々な背景を持つ人がネットワークのようにつながり合って欲しいとの思いを込めて、「INC」という名前を付けました。
なるほどですね。確かに既存の日本語話者向け集会所とワールドの作りやコンセプトなどは全然違うなぁ~と思ってましたが、空間表現・溶け合うという考え方を聞いた上で改めてワールドを見ると、非常にしっくりくる部分があります。
近未来的な雰囲気のワールドですが、コンセプトやテーマなどがあれば教えてください。

先ほどと若干被ってしまうかもしれませんが、コンセプトやテーマをお伺いしてみたいと思います。
実際に空間表現や溶け合うと言う部分を意識されているとおっしゃってましたが、他にもどんな物を意識されたとか、コンセプトとかその辺りを深堀させて頂けたらと思います。
ひねり 凄く特徴的なワールド(建物)ですがなにか参考にされたものとかはありますか?
銀こんにゃく ワールドを作る際に、参考にするために西は福岡、東は千葉まで実際に現地の建築を訪問しました。
実際に建築物を見に行き、それを参考にワールドを制作されたというのは驚きました。お話を聞いて、INCの空間に独特の説得力がある理由が少し分かった気がします。
ひねり 具体的にどんな建築物を参考にされたなどはありますか?
銀こんにゃく 具体的に下記の方を大きく参考にしました。
- 伊東豊雄(せんだいメディアテーク、おにクルなど、)
- SANAA(金沢21世紀美術館、台中緑美図など、)
他にも沢山ありますが、大きく参考にしたのはこちらになります。どちらも多目的な建築物が多いですが、空間など区切らずそれでいて交流はしっかりできるそういった建築物が多いです。
実際に訪れてみると、美しい建築で多くの方々が思い思いの時間を過ごしていました。現実の建築で成功しているのであれば、VRChat上でも同じことが出来るのではないかと感じました。そこで、ワールドを設計する際には、空間デザインや人の動きの流れを特に意識しました。
ひねり 本当に考えられてワールドを作られているのが伝わってきます。
銀こんにゃく 良い建築物や公園では、子どもが元気に遊んでいてもあまり気になりません。空間の作り方によっては、子どもが自然と静かに本を読むような過ごし方が生まれることもあります。そうした人の動きや過ごし方も参考にしました。美しく、多目的に使える建築空間をVRChat上に作ることで、人々が自然に集まり、良い交流が生まれるのではないかと考えています。
現実の建築物や公園の考え方をVRChatの空間設計へ落とし込んでいるというお話は非常に興味深く感じました。
ひねり 最初はどういった方に来てもらおうと思ってワールドを作成されましたか?
銀こんにゃく 普段フレプラやフレオンに居る方がパブリックに出るきっかけになるような新しい交流ワールドがあってもいいのではないのかな?と思いワールドを作りました。主に内向的な方の交流の場を意識しました
実際に建築物を参考にして空間設計を行っているというお話を聞いて、ワールド内のさまざまなスペースが自然と居場所として機能している理由がよく分かりました。広いワールドでありながら居心地の良さを感じるのは、こうした設計思想が反映されているからなのかもしれません。
日本語話者向け集会所ワールドを制作しようと思ったきっかけを教えてください

次に、日本語話者向け集会所ワールドを制作しようと思ったきっかけについてお伺いします。
ひねり どのぐらいの時期からワールドを作成しようとおもわれましたか?
銀こんにゃく このワールドのプロジェクトは、2024年の末頃から動き始めていました。当時より、VRChatには、もっと新しい交流ワールドの選択肢があってもいいのではないかと感じていました。特に、多目的ながらも、これまでより少しフォーマルに過ごせる場所があっても面白いのではないかと考え、このプロジェクトがスタートしました。
お話を聞いて納得しました。準備期間という意味合いですと、1年半以上の期間をかけて準備されていたわけですね。その間に先ほどお伺いした現実の建築物などを周られたと。
銀こんにゃく このワールドの一番大切なコンセプトは、訪れた人が自分のペースで過ごせる交流ワールドを作ることです。会話をしなくても同じ空間にいられる場所、人と積極的に交流しなくても心地よく過ごせる場所を目指しました。さまざまな人が無理なく集まり、それぞれの距離感で自然に交流できるワールドを目指しました。
VRChatもそうですが、良いパブリックスペースがたくさんあれば、世界はもっと平和になるのではないかと思っています(笑)。
このワールドには、座ってくつろげる場所、遊べる場所、音楽を聴ける場所、コーヒーを楽しめるギミックなど、さまざまな要素があります。今後はギャラリーエリアも追加する予定です。訪れた人がそれぞれの楽しみ方で過ごせる、多目的なワールドを目指しました。
今までありそうで無かった、そんなワールドを提案したいと言うことでこの『INC』を作ってみようと思いました。
実際にはどのような方が利用されることが多いのでしょうか?
銀こんにゃく 本当にさまざまな方に利用していただいていますが、全体的には落ち着いた雰囲気の方が多い印象です。
また、現時点ではQuestやiOSにまだ対応していない影響もあるかもしれませんが、Knownユーザー以上の方も非常に多いように感じています。
利用されている方の中には、音楽活動をしている方や、作業をしながら過ごしている方も多くいらっしゃいます。朝になると、そのまま寝落ちしている方を見かけることもあります(笑)。
寝ている人が同じ空間にいても気にならない。そんな自然で居心地のよい空間を作れたことは、嬉しい成果だと感じています。
ひねり なるほどですね、確かに私も記事を書くにあたってワールドに滞在させて頂きましたが、凄く落ち着いた方が多い印象を受けました、また初心者の方より、純粋に交流目的で来られている方が多いと私も思いました。
ワールド公開後の反響はいかがでしたか?
銀こんにゃく ワールド公開から約1ヵ月半で、累計約13万回も訪問していただき、とても嬉しく思っています。
また、私自身もワールド公開後の約1ヵ月間は、この『INC』にしか行っていないほどで、皆さんと一緒に楽しませていただいています。
その中で、ワールドに対する率直なご意見を直接いただけることもあり、とても嬉しく感じています。実際に交流する中で、「ここが良かった」「ここはこう改善するともっと良くなりそう」といった生の声を聞くことができ、とても参考になっています。
安心して遊んでいただける場所であり、気軽に意見を伝えられる場所でもある。そんな空間を作ることができているのだと実感できて、とても嬉しいです。
「人が定着する交流ワールド」を目指して意識したこと
この部分が個人的には肝のインタビューだと思ってます。日本語話者向け集会所ワールドにおいて、最も難しいのが「人の定着」だと私は考えています。実際現在人が定着しているワールドにはなにかしらの理由が全てのワールドにあると思ってます。居心地の良さであったり、雰囲気であったり、面白さであったり、今回はそんな人が定着するにあたって何か意識的にされたことをお伺いしていこうと思います。
ひねり 実際に人が定着するコミュニティ作りのために意識された事はありますか?
銀こんにゃく 繰り返しになりますが、自分のペースで人が滞在しやすい空間づくりを特に意識しました。中でも、普段あまりパブリックインスタンスに出ない方が、外に出るきっかけになったり、そのまま安心して過ごせたりするような、居心地のよい空間を目指しました。
また、公開直後は私自身も実際にワールドに滞在し、利用してくださる方々の生の声を直接聞くようにしていました。そこでいただいた意見をもとに、こまめにアップデートも行いました。
とにかく、「ここにいたい」と思ってもらえるような居心地の良さを大切にして制作しました。
ひねり これは実際に私もワールドを利用していて感じた部分です。交流が上手くできなかったとしても自然と居場所を見つけやすく、不思議と居心地の良さを感じます。運営メンバー自身がワールドへ足を運び続け、利用者の声を反映してきたことも現在の雰囲気につながっているのかもしれません。
アップデート履歴がワールドで見れますがとにかく頻度も高くワールドの改善に尽くされていたのが凄く伝わって来ます。
このワールドのこだわりポイントがあれば教えてください。
先ほど居心地のいい空間について色々お伺い致しました、おそらく一番の拘りポイントがそこだと思うのですが他にもこだわったポイントなどがあれば教えてください!!個人的にはTabキーで表示できるメニュー機能が凄いと思いました!!

銀こんにゃく Tabキーで開けるメニューは、特に気合いを入れて作りました。
ゆきねこさんの「ワールド統合メニュー」を基盤にしつつ、テレポート機能やQvPenの呼び出し、BGM設定、ライティング設定などを追加しています。
自分の手元でさまざまな設定を自由に変更できるので、それぞれの人が過ごしやすい空間を作りやすくなっていると思います。
空間の楽しみ方の選択肢を広げる機能として、ぜひいろいろカスタマイズしながら使ってみてください。
ひねり Tabキーは確かに凄くいいな~と感じました。他に拘ってるポイントなどありましたら教えてください!!
銀こんにゃく 基本的には、ワールドの大部分を「道」で構成することにこだわっています。
日本では、神社やお寺の参道、門前町のように、道そのものが人の流れやにぎわいを生み、滞在する場所として機能してきました。
もちろん一概には言えませんが、日本では広場が先にあるというよりも、道の延長線上に人が集まり、広場のような役割を持っていくという感覚に近い部分があると考えています。
そうした日本の、人が自然と集まる道の文脈を取り入れたいと思い、「INC」のワールドもこのような構成にしました。
お話を聞いて納得しました。神社の参道の話凄くしっくりきました。道から広場に拡張していく確かに『INC』もそれと似た雰囲気を感じます。特に公園に繋がる外の道なんてまんまそんな感じですよね。

銀こんにゃく また、ワールド全体の高低差をできるだけ少なくしている点にもこだわっています。高低差を抑えることで、全体の見通しがよくなり、どこにいても周囲の様子がわかりやすい空間にしています。
特に人の立ち位置に上下関係が生まれにくくなるようにも意識しました。高い場所から誰かを見下ろすような状況が起きにくくなるよう、少し高い場所へ行く場合でも、なだらかな傾斜を通る必要がある構造にしています。
空間の中で自然に対等な距離感で過ごせるようにしたことも、大きなこだわりのひとつです。
ひねり 細部まで凄く拘られている…とワールドのこだわりをお伺いして非常に強く思いました。特に神社の参道の話は公園に続く道を見させていただいて凄くしっくり来てます。
一貫して空間設計に対するこだわりが非常に強く感じられました。とにかく居心地がいいワールドにすると言う部分の拘りが強いとインタビューをさせて頂いて感じました。

今後予定されているアップデートやイベント、告知したい内容などがありましたら教えてください。
- ギャラリーエリアが近々できます。
- 人が集まる用のワールドにギャラリーを置いたらどうなるのか?などのチャレンジをしていきたい。
- また交流を促進できる機能などの追加を考えています。
- 更に空間に合う形で機能を追加していきたいと考えてます。
- 交流の挑戦・可能性をつきつめていきたいと考えてます。
- 近々広告の募集も始まります。(無料予定)

との事です。詳しくは銀こんにゃくさんのXで告知等がありますのでそちらをチェックしてみてください!!
最後に「運営していて一番嬉しかった出来事はありますか?」
銀こんにゃく 交流ワールドで人が集まり定着して下さっている方も沢山居て下さることがまず一番嬉しいです!!
自分たちの交流ワールドの提案に賛同して下さっていると言う事ですのでこれが非常に嬉しいです。
ありがとうございます。インタビューの中で『交流ワールドは仮説で成り立っていて、挑戦してみて、結果共感・賛同して下さって定着して下さっている』とおっしゃってました。
今回はINCについてお話を伺いました。
インタビューを通じて感じたのは、「人が集まるワールド」を作るのではなく、「人が自然と居たくなる空間」を作ろうとしていることでした。
実際にINCを訪れた際は、ぜひ交流だけでなく空間そのものにも注目してみてください。インタビューで語られていた様々な工夫やこだわりを感じられるかもしれません。
また現在INCは、中核となる3名の運営メンバーを中心に運営されています。
少人数ながらも継続的なアップデートや利用者との交流を続けており、そうした積み重ねが現在のコミュニティにつながっているのかもしれません。
銀こんにゃくさん、この度は貴重なお話をありがとうございました。








