
近年盛り上がりを見せているVRChatで配信をしてみたいと思っている方も増えてきていると思います。
そんな方に向けて、この記事では「VRChatの設定」や「OBSの設定」などを初めての方でもわかりやすいように紹介していきたいと思います。(パソコン2台での環境設定も!)
できるだけ詳しく解説していくので仕組みから理解することができると思います!
手軽に録画したい方は👇
今回は、動画撮影&画面録画の方法を2種類紹介していきます。 気軽に撮影&録画したいなら「WindowsのGame Bar」で、こだわって撮影&録画したいのであれば「OBS Studio」を使用することをおすすめします! …
もくじ
配信・録画する方法

VRChatの映像をに「録画・配信」するには、以下のようなステップで映像を処理していきます。
この図は、1PCまたは2PC構成を想定した、フロー図です。
① VRChatで映像を出力する
VRモードの場合
まず、VRChatで「Stream Camera」を起動します。

すると、「Stream Camera」の映像がパソコンのVRChatのウィンドウに表示されます。
4Kで出力したい場合は「Stream Camera」の設定で「ストリームの解像度」を4Kに設定してください。

以上で映像の出力は完了です。次の「映像の転送」に進みます。
デスクトップモードの場合
まず、VRChatで「Stream Camera」を起動します。

- 視点移動:
マウスホイールを押し込みながらマウスを動かす - カメラの移動:
マウスホイールを押し込みながらWASDで移動する - アバターの移動:
右クリックを長押ししながらWASDで移動する
これだけではVRモードと違い映像を出力することができないので「Spoutストリーム」を有効にしてください。

4Kで出力したい場合は「Stream Camera」の設定で「ストリームの解像度」を4Kに設定してください。

以上で映像の出力は完了です。次の「映像の転送」に進みます。
② 映像の転送(Spout or NDI)
今回はOBSを使用して「配信・録画」するのでOBSをダウンロード&インストールしてください。
Spoutを使用する
VRChatのウィンドウの画面を「配信・録画」する場合は、この手順を飛ばしてください。
しかし、これから紹介する「Spout」を使用することで、高いクオリティの「配信・録画」をすることができます。
「Spout」を使用する場合は”Stream Camera”の「Spoutストリーム」を有効にしてください。

次に、パソコンに「Spout」をダウンロード&インストールしていきます。
GitHubにアクセスしたら「Releases」をクリックします。

そして、最新バージョンの「OBS_Spout2_Plugin_Install_v○○.exe」をダウンロードします。

ダウンロードされたファイルを開いて、インストールを完了させてください。

以上で映像の転送は完了です。
NDIを使用してサブPCに映像を転送する(2PC)
パソコン1台で配信をする場合はこの手順を飛ばしてください。
しかし、VRChatは非常にパソコンに負荷がかかることが多いので、2PCを使用した配信・録画をすることをお勧めします。
NDIを使用することで簡単に”インターネット経由“でメインPCからサブPCに映像を転送することができます。
まず、メインPCとサブPCの両方に「NDI」をダウンロード&インストールします。
GitHubにアクセスしたら「Releases」をクリックします。

そして、最新バージョンの「distroav-○○-windows-x64-Installer.exe」をダウンロードします。

以上で「NDI」の導入は完了です。
NDIはインターネット(ローカルネットワーク)を経由して映像を送信するので、パソコンが2台とも有線LANにするようにしてください。
無線でも可能ですが、ラグなどが発生しやすくなってしまいます。
③ OBSで映像を受け取り処理する
ここからは「OBS Studio」の設定をおこなっていきます。
VRChatのウィンドウ画面を直接で処理
OBSを起動して、シーンにソースから「ウィンドウキャプチャ」追加します。

ウィンドウを「VRChat.exe」に設定してOKをクリックしてください。

これでVRChatの映像がOBSに表示されます。
このウィンドウを直接で処理する方法で「配信・録画」するとウィンドウに映っているものすべてを撮影します。
なので、フレンド欄などを映したくない場合はSpoutを使用するようにしてください。
(VRモードの場合は”Stream Cameraを起動している間”はカメラの映像がウィンドウに映るので大丈夫です)
Spout経由で処理
OBSを起動してシーンにソースから「Spout2 Capture」を追加します。

プロパティの部分は特に変更しなくて大丈夫です。(詳細が気になる方は下から見てみてください)
- SpoutSenders(スポウト送信者)
最初に利用可能な送信元を自動で使います。
▼をクリックすることで、現在PC上で稼働中のSpout送信アプリケーションを選択できます。 - Composite mode(合成モード)
背景を透過せず完全に不透明な状態で合成します。 - Poll time for new senders(新しい送信者のポーリング間隔)
新しいSpout送信元が登場したとき、素早く検出します。
“normal”や”slow”を選ぶと、検出速度が遅くなる代わりにCPU負荷が抑えられる場合があります。

これでVRChatの映像がOBSに表示されます。
NDIを使用する場合(2PC)
サブPCで配信・録画する場合は、これまでの設定とは別にもう一つの設定が必要になります。
メインPCとサブPCの両方のOBSで「ツール」→「DistroAV NDI® Settings」をクリックします。

「Main Output」のチェックボックスにチェックを入れて有効にします。

次に、サブPCの方でシーンにソースで「NDI® Sorce」を追加します。

これで、メインPCでウィンドウキャプチャやSpoutで表示した映像をサブPCに送信することができました。
④ OBSの設定を変更する
ここでは、VRChatの映像を高画質で「配信・録画」するために、OBSの設定を調整していきます。
その前に自分の使用しているPCのスペックを把握しておくことで、設定を最適化することができます。
スペックの確認方法がわからない方は下からご確認ください。
「Esc」「Shift」「Ctrl」キーを同時に押します。
すると、タスクマネージャーが起動するので「パフォーマンス」から自分の使っているCPUやGPUをメモしておきましょう。

解像度別の推奨ビットレート
ビットレートは高くすればするほど映像をきれいにすることができます。
しかし、同時にパソコンへの負荷も大きくなる(容量も大きくなる)ので注意が必要です。
解像度 | フレームレート | 配信用ビットレート(Kbps) | 録画用ビットレート(Kbps) |
1920×1080(FullHD) | 30fps | 3000~4500+ | 6000~10000+ |
1920×1080(FullHD) | 60fps | 4500~6000+ | 10000~15000+ |
2560×1440(WQHD) | 30fps | 5000~7000+ | 12000~20000+ |
2560×1440(WQHD) | 60fps | 7000~10000+ | 18000~25000+ |
3840×2160(4K) | 30fps | 9000~14000+ | 25000~40000+ |
3840×2160(4K) | 60fps | 14000~20000+ | 40000~60000+ |
推奨エンコード設定(1PC)

配信や録画の映像を圧縮(エンコード)する設定です。ここは画質・負荷に大きく影響するため、しっかり確認しておきましょう。
CPUモデル | 内臓GPUの有無 | エンコーダー |
Intel i5 / i7 / i9(Fなし) | ✅ あり | Quick Sync Video |
Intel i5 / i7 / i9(F付き) | ❌ なし | NVENC/AMD HW(GPU) |
Ryzen 5000 以前 | ❌ なし | NVENC/AMD HW(GPU) |
Ryzen 7000 以降 | ✅ あり | AMD HW(CPU) |
CPUには内臓されているGPUがある場合があります。その場合は、グラフィックボードでVRChatの処理をして、内臓GPUでエンコードの処理をすることをおすすめします。
こうすることで負荷を分散することができるので、快適にVRChatを遊びながら配信することが可能になります。
“IntelのCPUは末尾に「F」がついているCPU”や”Ryzen 5000 シリーズ以前”には内臓GPUが搭載されていません。
なので、グラフィックボード単体でVRChatの処理とエンコードをする必要があります。
4Kの場合は内臓GPUでは処理が追い付かないことがあります。
なので、グラフィックボードを2枚使用するか2PCの環境にするようにしましょう。
(私の場合は最新のRyzen 9000シリーズを使用しているため、4Kでの配信・録画も可能でした)
推奨エンコード設定(2PC)

サブPCでエンコード処理(OBSで録画)をする場合は、負荷を2つのパソコンで分散されることができます。
なので、4Kなど高負荷の配信・撮影も快適に行うことができます。
CPU | GPU | エンコーダー |
Intel | ✅ あり | NVENC/AMD HW(GPU) |
Intel | ❌ なし | Quick Sync Video |
Ryzen | ✅ あり | NVENC/AMD HW(GPU) |
Ryzen | ❌ なし | AMD HW(CPU) |
基本的にサブPCでは「配信・録画」以外に負荷がかかるようなことはないので、GPUが搭載されている場合はエンコードに使用しましょう。
GPUが搭載されていない場合は、内臓グラフィック(Quick Sync Video・AMD HW)やソフトウェアエンコード(x264)を使用してください。
設定が変更できない場合はNDIの設定から「Main Output」を一旦無効にした状態で設定を変更するようにしてください。
音声設定
デスクトップの音声全体を取り込む設定だと通知音なども入ってしまいます。それを防ぐために「アプリケーション音声キャプチャ」を使用します。
VRChatの音声を取り込む
シーンにソースから「アプリケーション音声キャプチャ」を追加します。

ウィンドウを「VRChat.exe」に変更して「OK」をクリックします。

これでVRChatの音声だけを入れることができます。
カメラから音声を取り込む方法
VRChatの「Stream Camera」に「カメラからの音声」にチェックを入れることでカメラがある位置からVRChatの音声を拾うことができます。

マイクの設定
「配信・録画」に自分のマイク音声を入れたい場合、使用するマイクのデバイスを設定します。
音声ミキサーのマイクのオプションボタンをクリックしてプロパティに進みます。

デバイスの部分を使用するマイクに変更してください。
VR本体のマイクを使用する場合は「Virtual Desktop Audio」や「Oculus Virtual Device」にします。
別で用意したマイクを使用する場合は「そのマイクの名称」に設定します。

これで指定したマイクから音声を入力することができます。音量調整などをすれば完了です。
【番外編】VRモードでもPC操作ができるツール紹介
VRをしながら配信などをする場合、パソコンの操作が難しいことがあると思います。そんな時におすすめなのが「XSOverlay」です。
これでVR上にモニターを表示してコントローラーで操作することができるので、”配信でのコメント読み”や”配信・録画の設定”などを簡単にすることができます。
「XSOverlay」に興味のある方は👇
「VRChat」や「Resonite」などのVRゲームをしていて、パソコンの画面を操作したいと思ったことはありませんか? 「Virtual Desktop」や「Quest Link」からでもVR上からパソコンを操作するこ …
まとめ
今回は、VRChatの配信・録画を行うための基本的な流れから、1PC/2PCそれぞれの設定方法、さらには高画質配信を実現するためのエンコード設定まで、できる限り丁寧に解説してきました。
配信や録画に必要な知識は多いように感じるかもしれませんが、一つ一つ理解して進めれば、誰でも高品質な映像を発信することができます。
特に、SpoutやNDIを活用した構成や、CPU・GPUの負荷を分散する設定は、快適な配信環境を整えるうえで非常に重要です。自分のパソコン環境に合わせて、最適な方法を選びましょう。
また、「XSOverlay」などのツールを使えば、VR中でも快適に操作できるようになり、よりスムーズな配信体験が可能になります。
【追記】
YoutubeやTwitchなどで配信活動を行う場合は、使用しているアバターなどの規約を確認するようにしてください。
これからVRChatで配信を始めようとしている方にとって、この記事が少しでも参考になれば幸いです!